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保湿剤の種類

 

保湿剤には、いくつか種類があります。
私も、症状や季節によって保湿剤をいくつか組み合わせて、対応していました。保湿剤の種類を知り、自分に合ったものを使い、アトピー改善していきましょう。

 

主成分 商品名 特徴
ヘパリン類似物質 ヒルドイド 皮膚の水分を増やす、水分保持作用がある。水分を取り込む効果があり、水分蒸発を防ぐ効果はない。
尿素 ウレパール、ケラチナミン、パスタロン 水分保持作用はあるが、刺激性があり、炎症部分に塗ると痛かったり、熱を持つことがある。
白色ワセリン(鉱物油) 白色ワセリン、プロペト、サンホワイト(市販) 石油から精製された油。油の膜をはり、皮膚からの水分蒸発を防ぐ。皮膚の水分を増やす効果はない。べたつく。
その他の油(動植物油) 馬油(ソンバーユなど)、ホホバオイル、ツバキ油など 動物、植物から精製された油。鉱物油と同等の、皮膚から水分蒸発を防ぐのが主な働き。種類により、べたつきは異なる。

 

 

ヘパリン類似物質

アトピーの保湿剤としては、代表的な薬ヒルドイド。
保湿剤として非常に優れた効果を持っており、私も12年以上愛用しています。
ヒアルロン酸に似た水分保持作用があり、塗ると皮膚に水分を取り込む働きがあります。
そのため、入浴後すぐに使用することによって、その効果を十分に発揮しやすいのです。私は、入浴後、体をタオルで軽くふいたらすぐ、ヒルドイドで保湿をしています。

 

ヒルドイドによる保湿の特徴は、「皮膚に水分を取り込むが、水分が肌から出ていくのを防ぐ効果はない」というところ。つまり、ヒルドイドを塗ってから、ワセリンなどの膜を張る油分系の保湿剤を使うと、水分を皮膚に取り込み(ヒルドイドの作用)、水分が肌から出ていくのを防げ(油分系保湿剤の作用)、強い保湿効果を得られるのです。

 

ヒルドイドには、保湿剤の他にもいくつかの作用があります。血行促進作用、弱い抗炎症作用、血を固まりづらくする作用、傷の修復作用などがあります。
この中で注意したいのが、血行促進作用。
保湿作用に優れたヒルドイドだけど、この効果により、塗る場所によっては悪化することがあります。悪くなりやすいのが、真っ赤になっているところ。これは、炎症が起こっているところで、こういうところに塗ると悪化することが多いです。そもそも炎症が起こっているところは、血管が拡張し、炎症を起こす物質が集まっている部分。そこに血行促進作用のあるヒルドイドを塗ると、血行がさらに促進し、皮膚の温度上昇が起こり、炎症反応がさらに進んでしまいます。結果として痛みやかゆみを増強させてしますのです。

 

また、ヒルドイドには、抗炎症作用もあるにはあるが、実際には弱く、強いアトピーの炎症を抑えるレベルではありません。
よって、保湿作用を目的として、炎症部位(赤くなっているところ)は避けて塗るのが、ヒルドイドの使い方の基本となります。

 

 

尿素系保湿剤

こちらも皮膚の水分量を増やす働きがあります。
ヒルドイドと同等レベルの保湿作用があるが、こちらは刺激性が強いため、あまりおすすめしません。刺激性とはつまり、使うと「しみる」のです。
皮膚表面がただれていない正常な皮膚に対しては、保湿剤として優秀ですが、アトピーの人は基本的に皮膚をかいています。かいた部分は、皮膚表面がただれており、炎症が起こっています。そういった部分に刺激性のある尿素剤を塗るとしみます。さらにかきむしり、ひどい炎症が起こっていたり、汁が出ている悪い部分に塗ると、熱さや痛みを感じることもあります。
逆に言えば、尿素剤を塗ってもしみなければ、皮膚表面の調子も良くなってきているともいえます。

 

 

白色ワセリン(鉱物油)

塗ると油の膜をはり、皮膚からの水分蒸発を防ぎます。皮膚の水分を増やす効果はないためヒルドイドを塗った後に重ね塗りするとよいです。またべたつくので使用感に好みが分かれます。
ワセリンは石油から精製された、皮膚の保護軟膏です。
石油から精製されたと聞くと、それって大丈夫なの?と思ってしまいがち。
私も薬剤師になる前でしたが、原料を初めて知ったときは、石油の体に悪そうなイメージと重なって、使うのが怖くなったこともありました。しかし、調べてみると、安全性の非常に高い薬であることが分かりました。
白色ワセリンは石油を精製して作るのですが、この精製度により名称、値段、入手方法が異なります。精製度順にみていきます。

 

・白色ワセリン
一般的に日本でワセリンと言うと、白色ワセリンを指します。
ただ不純物は存在します。不純物とは石油精製過程で残ってしまうものなので、硫黄化合物や酸素、窒素、金属などの化合物です。
普通の皮膚の方ならかぶれることは少ないのですが、アトピーの方だと、この不純物でアレルギーを起こしかぶれてしまう方もみえます。
また不純物の存在により、使用期限を過ぎるたり、悪い環境に長時間放置しておくと酸化し、色が黄色がかってきます。
そうなっていたら使用は控えた方がよいでしょう。
日本薬局方では「石油から得た炭化水素類の混合物を脱色して精製したものである」と定義されています。
名前の通り、白い色をしており、粘度は固めです。特に冬場は固く手で温めてからでないと伸びずらい印象です。

 

・プロペト
白色ワセリンをさらに精製したワセリンです。精製度が高く、そのレベルは目に入れる軟膏にも使われるほどです。
色は白〜透明の間くらいでしょうか。白色ワセリンよりも伸びが良く、精製度も高い。また病院や薬局でもらう場合は値段も同じです。
市販で買う場合は白色ワセリンよりも値段が高いです。

 

・サンホワイト
精製度は非常に高く、開封していない状態では純度100%不純物無しです。
ただその代償として高価であり、医療保険が効く薬として認められておりません。
なので手に入れるには市販品を買う以外なく、病院では特別な病院以外はもらえません。
伸びが非常によく、かぶれもほぼ出ません。

 

以上が白色ワセリンの種類です。個人的には塗り薬として使用する場合プロペト以上をおすすめします。
私自身薬剤師として、仕事中、患者さんにはプロペトを勧めるようにしています。

 

番外編
・黄色ワセリン
白色ワセリンのより不純物が多いもの。不純物が多いため黄色いです。
黄色ワセリンは他のワセリンに比べて不純物が多いため、かぶれやすいです。その性質上ほとんど使用されておらず、流通も少ないです。もし手に入れられても、アトピー治療には使用をおすすめしません。

 

 

その他動植物油

動物、植物から精製された油。鉱物油と同等の、皮膚から水分蒸発を防ぐのが主な働き。
白色ワセリンが合わない場合はこちらの使用がよいでしょう。ただ、白色ワセリンと違い有機物が含まれているため人により合う合わないが大きいです。
が、合えば非常に有用です。初めて使用する場合は、少量より使いはじめ肌の変化、使用感を確かめ、自分に合うか合わないかを見極めましょう。
また種類により、べたつきは異なりますが紹介するものは白色ワセリンよりべたつきは少ないです。いずれも白色ワセリンより高価です。

 

・馬油(ソンバーユ)
名前の通り、馬からとった油です。ソンバーユという商品名が有名です。
馬油の種類にもよりますが、基本的にトロみのある個体で、冷所保存です。だいたい30〜35度で液体になります。
馬油は人間の皮脂と性質がとても近いことで知られており、アトピー関係なく昔から使われています。抗酸化・殺菌作用、抗炎症作用があり、自然治癒力を高める働きを持っているといわれていますが、合わない場合もあります。自分は使っている期間はありましたが、かぶれませんでした。しかし全身に使う場合、値段も高く、冷所保存が利便性が悪くやめました。

 

・ホホバオイル
ホホバという砂漠に生える植物の種からとったオイルです。
通常液体ですが、冬場10℃以下は個体になります。匂いもほぼ無臭です。
ホホバオイルは安定性が非常に高く、370℃以上の高温で4日間熱し続けても品質の変化がないと言われています。
伸びもよく適度に保湿してくれ、べたつきも少なく、保管も楽なので私はホホバオイルを皮膚からの水分蒸発を防ぐ目的で使っています。

 

その他、ツバキ油やオリーブオイルも保湿目的で使う方法もありますが、オリーブオイルは試したら私は悪化したためおすすめしません。

 

 

私の場合

それぞれ分類ごとに保湿剤をみてきました。
私の場合、いろいろ試して、最終的には

 

ヒルドイドローション→ホホバオイル

 

の順で保湿しています。ヒルドイドで皮膚に水分を与え、ホホバオイルで閉じ込める。
自分には両方合っており、べたつきも少なく、コストと効果のバランスが良いです。
もう8年以上保湿はこの組み合わせです。

 

皆さんも保湿剤の種類や特徴を知り、自分に合ったものをうまく活用しましょう。
また新しいものを使うときは少量、少ない範囲から始め、合わない場合はすぐやめる。
合いそうと思った場合は、徐々に範囲を広げ、皮膚の症状の変化を確認しながら使うようにしましょう。

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